有田秀穂著『「会社帰りに一杯」の習慣は大正解だった』(マイナビ新書)

幸せの価値観が昔とはすっかり変わってしまったように思う。
少し前までは努力をして欲しい物やお金、
そして地位を得ることが幸せだという考えは一般的だった。
経済が右肩上がりで努力が報われた時代ならば
それでも幸せになることはできただろう。
しかし成熟し、豊かになった日本にもはや成長の余地はなく
努力や頑張りが必ずしも報われることはなくなった。
そんな状況下でやみくもに努力をしても幸せになることはなく、
下手をすれば報われない努力にストレスを感じて
虚しい気持ちになることもある。
欲しい物、地位、お金などを得れば幸せになれるという時代は終わった。
この時代に幸福感を得るためには
物質的ではなく精神的に満たされることが必要なのだ。

私たちの生活は豊かになったが
精神的にも豊かになったかというとそうではない。
年間約3万人が自ら命を絶っているし、
仕事や人間関係でストレスを感じる人も多く
「新型うつ」なる病気も流行っている。
物質的に満たされても精神的に満たされないのは、
幸せの価値観が変わったことに気づかず
報われない努力をする人がまだまだ多いからではないだろうか。

もちろん物質的に満たされるということも幸せなことではあるが
その幸福感は一時的なものであり、恒常的なものではない。
欲しかった物を手に入れた時は気分が高揚するが
何日か経ってみると慣れてしまって
手に入れた時のようなうれしさはなくなってしまう
ということを経験したことがある人も多いだろう。
物質的な豊かさは一時的に心を満たすことはできるが
しばらくすると醒めてしまうのだ。

では
ストレスから解放され精神的に満たされるにはどうすれば良いのか?
これは本書でも紹介されているが
「肌が触れ合う距離で他者と時間を共有する行為」をするのが良い。
その一例がタイトルにもある会社帰りの一杯であるが
それ以外にも他者との会話や触れ合いによって満ち足りた気分になることができる。
(他者と言っても誰でも良いというわけではなく、親しい間柄でないとダメだ。)
家族や恋人ならばスキンシップ、
ペットを飼っている人ならばペットとの触れ合いで癒しを感じることができる。

なぜこれらの行為が良いのかは
専門的になるので是非本書を読んで頂きたいが(笑)
簡単に言うと
人と触れ合うことでオキシトシンという物質が分泌され
それによってストレスが緩和されたり癒されるのである。
ちなみに最近流行っているSNSやメールなどを介して他者と触れ合っても
オキシトシンは分泌されず
ストレス緩和や癒されるといった効果は期待できないらしい。

頑張っても報われない時代にやみくもに頑張るのはやめて
身近な人とのつながりを強化することに力を入れる。
そんな人が増えたら
何かとストレスを感じることの多い日々もきっと良くなる。

私も自宅こもってネットばかりしていないで
人と人とのつながりを強める努力をしよう。
ってそんな相手いないけど(泣)

もっとちゃんとオキシトシンについて知りたいという方は
是非本書を一読することをオススメする。
この物質が持っている短所も詳しく記載されているし
ここには書かなかったすごい効果についても知るができ
とても勉強になる(色んな意味で(笑))。

「会社帰りに一杯」の習慣は大正解だった ~癒しの脳内物質・オキシトシンが心を満たす~ (マイナビ新書)「会社帰りに一杯」の習慣は大正解だった ~癒しの脳内物質・オキシトシンが心を満たす~ (マイナビ新書)
著者:有田 秀穂
販売元:マイナビ
(2012-08-23)
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