村上純著『人生で大切なことはラーメン二郎に学んだ』(光文社新書)

『人生で大切なことはラーメン二郎に学んだ』

なんとも壮大なタイトルではあるが
本書の大半は二郎の歴史、店内での作法
メニューの詳細な解説、各店の特徴で占められている。

二郎はメディアに出ることがないので
(メディア露出禁止令が出ているらしい)
その分ネットで話題になることが多いように思える。
そこで語られるのは良いイメージではなく
ラーメンの量の多さや店内での独自のルールばかりで
一見にはとてもハードルが高いと感じてしまう。

だが、実際に行ってみると
たしかに守らなければならない作法はあるものの
行く前に感じたほどのとっつきにくさは感じられない。
そして何よりもラーメンが美味しいことに驚いた。

私の場合はネット上のあらゆる情報を調べ
さらに※書籍も読み込んで
事前調査にはかなりの時間を費やした。

だが、
二郎に行ってみたいがその一歩が踏み出せないという人は
本書を1冊だけ読めば十分だろう。
実際に色んな店舗に足を運んでいる著者の言葉は
躊躇しているあなたの背中を押してくれるに違いない。

※牧田幸裕著「ラーメン二郎にまなぶ経営学」(東洋経済新報社) 

ちなみに著者は本書の中で
二郎を完食することで
他では得ることができない達成感を得られると述べている。

これには私自身も同感である。
卓上に置かれた山盛りのラーメンを目の当たりしたとき
本当にこんなに食べられるだろうかと不安になり、
それでもどこから崩していくか瞬時に計画を立て実行する。

途中食べても食べても減らない麺にくじけそうになりながらも
箸を動かし続け完食する。
その達成感はマラソンを完走したときのような
すがすがしさを感じさせる。
(マラソンはやったことがないが) 

そしてちょっとだけ自分が成長したような気になるのだが
こういう経験というのは意外と大事だと思っている。