安田正著『一流役員が実践している仕事の哲学』(クロスメディア・パブリッシング)

行動や習慣とは
その人の意識や考え方が反映されるものである。
だから新しい行動や習慣を取り入れようと思ったら
まずは自分の意識や考え方を変えないといけない。
意識や考え方が変われば行動は自然と変わる。
以前の私はそう思っていた。

ただ最近になってこの考え方を改めるようになった。
頭でわかっていることが実際に行動に移せるかというと
必ずしもそうではないし(むしろできないことの方が多い)
他人が評価してくれるのは自分の考え方ではなく
自分が何をしているか(したか)ということに気付いたからだ。

だったら意識改革だなんだと言う前に
リスクの小さいことならとりあえず行動してしまった方がいい。
(もちろん行動に移すまえに検討が必要なこともあるが)
行動しないことには結果は出せないのだ。

本書はこれまでたくさんのビジネスマンと接してきた著者が
仕事やプライベートにおける様々な場面で
平社員、部長、役員ぞれぞれが
どのような行動をとるかということを解説している。

それぞれの場面において
役員が特別なことをしているかというとそうではなく
ついつい後回しにしがちなメール返信を3分以内にする
ごちそうしてもらった相手にお礼のメールを送る
革靴を脱いだり履いたりするときはその都度紐を結び直す
といったことで誰でもやろうと思えばできることばかりである。

革靴を履くときに紐を結び直して何が変わるのか?
と思う人もいるかもしれないが
やってみてはじめてわかること、
やってみないとわからないこともある。
こうしたことをやるかやらないかの差はほんのわずかだが
積み重なればそれはとても大きな差となり
仕事で成功できるかどうかの差となるのである。

本書で紹介されている優秀な人の習慣は
実践するにあたってのリスクはほとんどない。
だからとりあえずどんどん実践してみて
そのあとで取捨選択すればいい。
行動しないことには何も変わらないのだから。

一流役員が実践している仕事の哲学一流役員が実践している仕事の哲学 [単行本(ソフトカバー)]
著者:安田 正
出版: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
(2013-01-17)